月に吠える

萩原朔太郎が発表し、近代人の病的な憂鬱や神経感覚を斬新な口語表現で歌い上げて日本近代詩の頂点とされた詩集は何か?
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月に吠える (つきにほえる)

1917年

【概説】
大正時代の1917年に刊行された、詩人・萩原朔太郎の第一詩集。それまでの文語詩の枠組みを打破し、人間の病的な憂鬱や生理的な孤独感を斬新な口語のリズムで表現した、日本近代口語自由詩の金字塔。

口語自由詩の確立と表現の革新

萩原朔太郎の『月に吠える』は、日本近代詩の歴史において口語自由詩の芸術的価値を確立した画期的な作品である。明治期以来の近代詩は、雅語や文語体を用いた定型詩が主流であり、日常語を用いた口語詩はまだ技術的に未熟とみなされていた。朔太郎は、話し言葉が持つ自然なイントネーションや感情的な響きを高度な音楽性へと昇華させ、主観的な感情を感覚的に伝える手法を開拓した。これにより、言葉そのものが持つ生理的な感覚やリズムが詩の主役となり、日本の詩壇に表現上の革命をもたらした。

大正期の「個の不安」を象徴する精神性

この詩集の登場は、大正期という時代の精神的過渡期とも深く結びついている。日露戦争後の日本の近代化は、個人主義や自由な思想を育んだ一方で、社会の急激な変化に伴う「自己の孤立」や「神経衰弱」をインテリ層に植え付けた。朔太郎は、自らの内に潜む「病的な憂鬱」や「生理的な孤独感」を鋭敏な感性で直視し、言葉に定着させた。『月に吠える』に収録された「竹」などの詩に見られる感覚的な描写や不気味な幻想美は、近代人の抱える自己不安や内面世界を浮き彫りにし、同時代の多くの若者たちに決定的な影響を与えた。

最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

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