古モンゴロイド
【概説】
モンゴロイド(黄色人種)のうち、氷河期の極寒地域における環境適応(寒冷地適応)を強く受けていない、古い形質を残した人間集団。日本列島においては、旧石器時代から縄文時代にかけて居住していた先住民(縄文人)の基盤となった。
寒冷地適応と形質的特徴
アジアを中心に分布するモンゴロイドは、シベリアなどの極限の寒冷地で進化した「新モンゴロイド」と、そのような劇的な適応を経ていない「古モンゴロイド」に大別される。新モンゴロイドが凍傷を防ぐために一重まぶたや平坦な顔立ち、薄い体毛などの形質を獲得したのに対し、古モンゴロイドは温暖な環境に適応した古い形質を維持した。そのため、比較的彫りが深く、二重まぶたで体毛が濃く、湿った耳垢を持つなどの身体的特徴がある。東南アジアや太平洋諸島、そして縄文時代の日本列島の人々にこの形質が強く見られる。
日本人の起源と「二重構造モデル」
古モンゴロイドは、日本人のルーツを解明する上で極めて重要な概念である。人類学者の埴原和郎が提唱した「二重構造モデル」によれば、日本列島の最初の居住者である旧石器時代から縄文時代の人々(縄文人)は古モンゴロイド系統であった。その後、弥生時代以降に朝鮮半島や中国大陸から寒冷地適応を経た新モンゴロイド(渡来系弥生人)が渡来し、列島各地で混血が進むことで現在の二重構造的な日本人が形成されたとされる。現代の日本人においても、アイヌの人々や南西諸島の人々に、古モンゴロイドに由来する遺伝的特徴がより強く残されていることが近年のゲノム解析からも裏付けられている。