三時代法
1836年提唱
【概説】
デンマークの考古学者トムセンが提唱した、人類の歴史を道具の主要な材質に基づいて区分する年代決定法。考古学的な遺物の材質に着目して石器時代・青銅器時代・鉄器時代の3期に整理したもので、近代考古学の基礎を築いた画期的な分類法である。
トムセンによる提唱と近代考古学の誕生
19世紀前半、コペンハーゲン国立博物館の学芸員であったデンマークのクリスチャン・トムセンは、散逸していた膨大な博物館の収蔵品を整理・展示する実用的な基準を模索していた。彼は、道具の主要な材質が「石」から「青銅(ブロンズ)」へ、そして「鉄」へと進化していったという推移に気づき、1836年に刊行された博物館のガイドブックにおいてこの三時代法を公表した。それまで、文献史料の存在しない先史時代の歴史区分は、神話や聖書、主観的な思索に基づいていたが、トムセンの方法は出土した物質資料(実物)そのものを用いて客観的に時代を区分するものであり、これにより近代考古学が科学的な学問として確立されることとなった。
日本における三時代法の受容と独自の歴史像
明治時代以降、西欧の学問体系が日本に導入されると、この三時代法も日本史・考古学の基本構造として受容された。しかし、日本列島における先史時代・原史時代の研究が進むにつれて、日本の歴史が西欧の三段階モデルにそのまま適合しないことが明らかになった。ヨーロッパでは石器時代、青銅器時代、鉄器時代が順を追って発展したが、日本においては縄文時代の石器を使用する生活から、弥生時代への移行期に大陸より青銅器と鉄器がほぼ同時に伝来した。そのため、日本には単独の「青銅器時代」が存在せず、両者が併用される青銅器・鉄器併用時代を経たという日本独自の歴史的特質が確認された。三時代法は、日本の先史文化の独自性を浮き彫りにする上でも極めて重要な比較基準となった。