学事奨励ニ関スル被仰出書

学制発布に伴い、学問は「身を立るの財本」として「邑に不学の戸なく家に不学の人なからしめん」と宣言した太政官布告は何か?
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【参考リンク】
学制(Wikipedia)

学事奨励ニ関スル被仰出書 (がくじしょうれいにかんするおおせいだされしょ)

1872年

【概説】
明治政府が近代的な学校制度を定めた「学制」の発布と同時に発した、教育の普及を促す太政官布告。従来の身分制に基づく学問観を否定し、すべての国民が個人の立身出世や実生活のために学ぶべきであるとする「国民皆学」の理念を提示した。

国民皆学の提示と身分制教育からの脱却

1872(明治5)年8月、明治政府は日本最初の体系的な近代学校制度を定めた「学制」を頒布した。この学制の基本方針と教育の理念を広く国民に浸透させるため、天皇の意思(被仰出書)を示す形式で同時に出されたのが「学事奨励ニ関スル被仰出書」である。

本書の最大の歴史的意義は、「邑(むら)に不学の戸なく、家に不学の人なからしめん」という、身分や男女の区別なく全員に教育を施す「国民皆学」の姿勢を国家の方針として打ち出した点にある。江戸時代までの士族中心の学問や、階層に応じた教育体制を批判し、すべての人間が自立して生きるために教育が不可欠であることを強調した。

「実学」の重視と個人の立身出世観

また、本書では学問を「身を立(たつ)るの財本(ざいほん)」、すなわち個人が社会で生きていくための資本であると規定した。それまでの儒教的な道徳や文学といった抽象的な学問を「実なき学問」として退け、日常生活や実務、産業の発展に直接役立つ「実学」を修めることを推奨した。

この考え方は、同年に刊行されてベストセラーとなった福沢諭吉の『学問のすすめ』に強く通じる思想であり、個人の立身出世と国力増強(富国強兵)を結びつける明治期の近代的な教育観の出発点となった。

学制百年史 (1972年)

明治維新以降の教育制度の変遷を膨大な資料から紐解き、日本近代教育の歩みを網羅的に記録した歴史的価値の高い一冊。

教育から見る日本の社会と歴史(第3版)

現代社会が抱える諸問題を教育という切り口から深く掘り下げ、日本の歴史と仕組みを再考するための必読の入門書。

最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

日本史一問一答(ランダム)

Q. 幕府や藩、商人が主体となり、荒れ地や遠浅の海・湖沼などを干拓・開墾して新たな田畑を作ることを何と呼ぶか。
Q. 畿内(上方)の先進的な漁民が考案した、高度な技術や大規模な網を用いた漁法を総称して何と呼ぶか。
Q. 明治新政府が、江戸時代の封建的な身分制度を廃止し、国民を法的に平等な存在へと再編した方針(スローガン)を何というか?