円・銭・厘

1871年の新貨条例において、従来の「両・分・朱」などに代わって採用された十進法の新しい通貨単位(3つ)は何か?
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【参考リンク】
円 (通貨)(Wikipedia)

円・銭・厘 (えん・せん・りん)

1871年

【概説】
1871年(明治4年)の新貨条例によって定められた、日本における近代的な貨幣単位。1円=100銭=1000厘とする十進法を採用し、それまでの複雑な江戸時代の貨幣制度から脱却することで、日本経済の近代化と資本主義の発展に大きく貢献した。

江戸時代の複雑な貨幣制度と維新期の混乱

江戸時代の日本における貨幣制度は、金・銀・銭の三種類からなる三貨制度であった。この制度は非常に複雑であり、金は「両・分・朱」という四進法、銀は「匁・分・厘」という重量を基準とする秤量貨幣、銭は「文」を単位としていた。これらは日々変動する相場によって交換比率が決まっていたため、全国的な商業活動や統一的な会計処理において大きな障害となっていた。

さらに幕末の開港以降、金銀比価の国際的な違いから日本の金貨(小判)が大量に海外へ流出した。これに対処するための万延貨幣改鋳は激しいインフレーションを引き起こした。加えて、明治新政府が財源不足を補うために発行した不換紙幣である太政官札の価値下落や、各藩が発行した藩札、さらには精巧な贋金の横行などにより、維新直後の通貨制度は極度の混乱状態に陥っていた。欧米列強と対等に貿易を行い、近代国家としての基盤を築くためには、全国統一かつ国際通用力のある新しい貨幣制度の確立が急務であった。

新貨条例の制定と新単位の誕生

近代的な貨幣制度の導入に際して中心的な役割を果たしたのが、大蔵少輔であった伊藤博文である。伊藤はアメリカの金融制度を視察した際、欧米諸国が採用している金本位制と、計算が容易な十進法の優位性を痛感した。彼の建言を受けた明治政府は、1871年(明治4年)に新貨条例を布告し、日本の貨幣の基本単位を従来の「両」から新たな「円」へと改め、その補助単位として「銭」「厘」を定めた。

「円」という名称の由来については諸説ある。旧来の貨幣が方形や楕円形であったのに対し、新たに鋳造された西洋式の硬貨が完全な「円形」であったことに由来するという説や、当時東アジアの貿易決済で広く流通していたメキシコ銀貨や香港銀貨などが「洋銀」あるいは「圓(えん)」と呼ばれていたことに倣ったとする説などが有力である。「銭」と「厘」については、伝統的に使用されていた重量・割合の単位を流用したものである。

十進法の採用と近代資本主義への道

新貨条例の最も画期的な点は、1円=100銭=1000厘(1円の100分の1が1銭、10分の1銭が1厘)という十進法を全面的に導入したことである。従来の四進法や重量計算に基づく複雑な体系が一掃されたことで、計算・記帳が劇的に簡略化された。

この十進法の採用は、単に買い物が便利になったというレベルにとどまらない。近代的な複式簿記に基づく会計制度の導入、全国統一的な税制(1873年からの地租改正など)、さらには国立銀行条例に基づく金融機関の整備や株式会社制度の定着など、近代資本主義経済を機能させるための不可欠なインフラとなった。また、円形・十進法の新硬貨は偽造が困難であり、国民の通貨に対する信用を回復させることにも成功した。

その後の変遷と「銭・厘」の廃止

「円」を基本とする通貨制度はその後、1897年(明治30年)の貨幣法による本格的な金本位制の確立などを経て、日本経済の中に深く定着していった。明治から昭和の戦前期にかけて、「銭」や「厘」は少額の買い物の支払いや、郵便料金などの日常生活においてごく当たり前に使用される貨幣単位であった。

しかし、第二次世界大戦後の急激なインフレーションによって通貨価値が大きく下落すると、「銭」や「厘」の少額通貨は実質的な購買力を失い、現金として流通させる意味がなくなった。これを受け、1953年(昭和28年)に「小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律」が施行され、1円未満の現金通貨の通用は法的に停止された。これにより、「銭」と「厘」は硬貨や紙幣などの実体を持つ通貨としては姿を消したが、現在でも外国為替市場の相場表示や、株式の配当金、税金の端数計算など、金融・会計の計算上の単位としては生き続けている。

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最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

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