過密化・過疎化

高度経済成長期、都市部への人口集中で生活環境が悪化する現象と、農村部で若者が流出して地域社会の維持が困難になる現象をそれぞれ何というか?
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【参考リンク】
過疎(Wikipedia)

過密化・過疎化

1950年代後半〜

【概説】
昭和時代の高度経済成長期において、若年労働力などが都市部に集中して住宅・交通・環境問題が発生する一方、農村部では人口の激減により地域社会の維持が困難になった二極化現象。日本列島規模での急激な人口移動がもたらした、現代にも連なる構造的な社会問題である。

高度経済成長と「金の卵」の大移動

1955(昭和30)年頃から始まった高度経済成長は、日本の産業構造を大きく転換させた。第一次産業(農業・林業・水産業)の比重が低下し、重化学工業を中心とする第二次産業や、サービス業などの第三次産業が急激に成長した。これにより、太平洋ベルト地帯をはじめとする三大都市圏(東京・大阪・名古屋)では莫大な労働力需要が生まれた。

この膨大な需要を埋めたのが、農村部からの若年労働力であった。「金の卵」と呼ばれた中卒・高卒の若者たちは、集団就職によって次々と都市部へ移住した。また、1961(昭和36)年に制定された農業基本法によって農業の近代化・効率化が推進されたことも、農村における過剰な労働力が都市へ流出する要因となった。この急激な人口の大移動が、過密化と過疎化という相反する二つの社会問題を引き起こす発端となった。

都市機能の限界と過密問題の発生

大都市圏への爆発的な人口集中は、深刻な「過密問題」を引き起こした。まず顕在化したのが慢性的な住宅不足である。日本住宅公団などによって郊外に大規模な団地やニュータウン(多摩ニュータウンや千里ニュータウンなど)が建設されたが、無秩序な都市開発(スプロール現象)も同時に進行した。これに伴い、郊外から都心へ向かう交通機関はパンク状態となり、殺人的な通勤ラッシュや深刻な交通渋滞が日常化した。

さらに、人口密度の上昇と工業の過度な集中は、都市環境の著しい悪化を招いた。工場からの排煙や自動車の排気ガスによる大気汚染(四日市ぜんそく等)、生活排水や工場排水による水質汚濁といった公害問題が頻発した。くわえて、生活ゴミの処理能力が限界に達して自治体間で対立する「ゴミ戦争」なども発生し、過密化は都市住民の健康や生活の質を根本から脅かす事態となった。

農村社会の崩壊危機と過疎化の深刻化

一方、若年層が大量に流出した農村部・山間部・離島などでは、人口の急減と高齢化が同時に進行する「過疎問題」が深刻化した。「過疎」という言葉は1960年代後半に生まれた行政用語であり、地域社会の活力が失われ、共同体としての機能が維持できなくなる状態を指す。

働き手である青壮年層の流出により、農林業の生産力は低下し、耕作放棄地が急増した。さらに、人口減少による税収減に伴って行政サービスも後退し、学校の統廃合、医療機関の不足、ローカル線の廃止などが相次いだ。消防や防災、伝統行事といった集落の共同作業すら成り立たなくなり、地域の存立そのものが危ぶまれるようになったのである。この事態に対し、政府は1970(昭和45)年に過疎地域対策緊急措置法を制定し、財政的支援による地方のインフラ整備などに乗り出した。

国土開発政策の展開とその後の影響

こうした国土の不均衡を是正するため、政府は様々な政策を講じた。1962(昭和37)年の全国総合開発計画(全総)では「拠点開発方式」を採用し、地方に新産業都市を指定して工業の分散を図った。また、1972(昭和47)年には田中角栄首相が『日本列島改造論』を掲げ、高速道路や新幹線などの高速交通網を全国に張り巡らせることで、地方への産業分散と人口定住を目指した。

1973(昭和48)年の石油危機(オイルショック)による高度経済成長の終焉とともに、大都市への人口流入は一時的に鈍化し、地方へ若者が回帰する「Uターン現象」なども見られた。しかし、バブル経済期以降は再び東京一極集中が加速し、地方では高齢化が極まった「限界集落」が増加するなど、高度経済成長期に生じた過密・過疎の構造的課題は、形を変えながら現代の日本社会においても解決すべき重要な課題として残されている。

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最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

日本史一問一答(ランダム)

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