腰岳

重要度

腰岳

【概説】
佐賀県伊万里市と有田町の境界に位置する、縄文時代における西日本最大級の黒曜石の原産地。ここで採掘された良質な黒曜石は、石器の原材料として九州全域や朝鮮半島南部にまで広く流通した。

西日本を代表する黒曜石の供給源

佐賀県西部に位置する腰岳は、縄文時代における西日本最大級の黒曜石(火山性の天然ガラス)の原産地である。黒曜石は割ると非常に鋭利な刃先ができるため、縄文時代を通じて狩猟用具である石鏃(矢の根)や、肉などを切る石匙などの石器原料として極めて高く評価された。腰岳産の黒曜石は不純物が少なく加工しやすいという優れた特性を持っており、東日本の長野県和田峠や北海道の白滝、伊豆諸島の神津島などと並び、日本列島における主要な黒曜石供給地として重要な位置を占めていた。

海を越えた広域ネットワークと歴史的意義

腰岳産黒曜石の最大の歴史的意義は、その驚異的な流通範囲の広さにある。科学的分析(蛍光X線分析など)により、腰岳の黒曜石は九州一円や沖縄諸島のみならず、対馬海峡を越えた朝鮮半島南部の遺跡(釜山市の東三洞貝塚など)からも多数出土している。これは、縄文人が極めて高い航海技術を持っていたこと、そして当時すでに日本海をまたぐ広域な交易・交流ネットワークが形成されていたことを示す決定的な証拠である。このように腰岳は、縄文時代の生業や技術、さらには対外関係を解き明かす上で欠かせない遺跡となっている。

佐賀県の歴史 (県史 41)

吉野ヶ里遺跡など豊かな古代の記憶から近現代まで、佐賀の土地が辿った変遷を深く紐解くための郷土史の決定版。

縄文の奇跡 なぜ「縄文時代」は1万年も平和が続いたのか--日本の歴史構造の謎にせまる (産経NF文庫)

争いのない調和の社会を築いた縄文時代の真髄を解き明かし、日本文化の源流と歴史構造の謎に迫る探究の書。

日本史一問一答(ランダム)

Q. 東日本において強大な力を持ち、現在の群馬県・栃木県にあたる地域を支配していた「君」の姓を持つ豪族は誰か?
Q. 古墳時代に九州南部に居住し、ヤマト政権の支配に対して激しく抵抗したとされる人々(のちの隼人)を何というか?
Q. 5世紀の中国において、五胡十六国の混乱を収拾して華北を統一した北魏や、その後に続く北半分の王朝を総称して何というか?