ポルトガル

いち早く東回り航路を開拓してインドのゴアや中国のマカオを拠点とし、1543年に日本に鉄砲を伝えた国はどこか?
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ポルトガル

【概説】
アフリカ南端を回る東回り航路を開拓し、インドのゴアや中国のマカオを拠点にアジアへと進出したヨーロッパの海洋国家。16世紀半ばに日本へ漂着して鉄砲を伝え、その後の南蛮貿易やキリスト教布教を通じて、日本の戦国時代から江戸時代初期の政治・経済・文化に多大な影響を与えた。

大航海時代におけるアジアへの進出

15世紀から16世紀にかけての大航海時代において、ポルトガルは隣国スペインと並び、世界規模の探検と海外進出を先導した国家である。1498年にヴァスコ=ダ=ガマがアフリカ南端の喜望峰を経由してインドのカリカットに到達し、ヨーロッパからアジアへ至る東回り航路を確立した。その後、1510年にインド西岸のゴアを占領してアジアにおける総督府を置き、さらに1511年には東南アジアの交易網の結節点であるマラッカを制圧した。16世紀半ばには中国の明からマカオの居住権を獲得し、東アジア海域における香辛料や絹などの既存の交易ネットワークに深く食い込んでいった。

日本への到達と鉄砲伝来

日本史におけるポルトガルの最大の意義は、1543(天文12)年の鉄砲伝来である。マカオへ向かう途中のポルトガル人を乗せた中国のジャンク船が台風に遭い、大隅国の種子島に漂着した。この時、島主の種子島時堯が彼らから2挺の鉄砲(火縄銃)を買い取り、鍛冶職人に製造法を学ばせた。鉄砲の伝来は、日本の戦国時代の戦闘様式を個人戦から足軽の鉄砲隊を用いた集団戦へと根本的に変容させ、さらには築城術や社会構造にも劇的な変化をもたらすこととなった。鉄砲は瞬く間に堺や根来、国友などの鉄砲鍛冶によって大量生産され、織田信長をはじめとする戦国大名たちの覇権争いにおいて決定的な役割を果たした。

南蛮貿易の繁栄とキリスト教の布教

鉄砲伝来を契機として、ポルトガル船は平戸や長崎などの九州の港に頻繁に来航するようになり、彼らとの間で行われた貿易は南蛮貿易と呼ばれた。ポルトガルはマカオを拠点に、日本産の銀(石見銀山などで産出)と中国産の生糸(白糸)を交換する中継貿易を行い、莫大な利益を上げた。日本からは他にも刀剣や海産物が輸出され、ポルトガルからは生糸のほかに絹織物、火薬の原料である硝石、時計やガラス製品などのヨーロッパの文物などがもたらされた。

また、南蛮貿易と不可分であったのが、カトリック(キリスト教)の布教である。1549年にイエズス会のフランシスコ=ザビエルが鹿児島に上陸して以降、多くの宣教師が来日した。ポルトガルは貿易による莫大な利益を背景に諸大名に改宗を促し、大友義鎮(宗麟)や大村純忠といったキリシタン大名を誕生させた。特に大村純忠による長崎のイエズス会への寄進(1580年)は、布教と貿易が一体化して進められていたことを如実に示している。

幕藩体制の確立と日葡関係の断絶

織田信長や豊臣秀吉は当初、南蛮貿易がもたらす富と優れた軍事物資を求めてポルトガルとの関係を重視した。しかし、秀吉はキリスト教が持つ政治的団結力や、ポルトガルなどのヨーロッパ諸国による領土的野心を警戒し、1587年にバテレン追放令を発布した。江戸幕府を開いた徳川家康も、初期は貿易の利益を優先したものの、キリスト教が封建秩序を揺るがす危険な思想であると認識するようになり、次第に禁教政策へと舵を切った。

さらに17世紀に入ると、新教国であるオランダやイギリスがアジア海域に進出し、ポルトガルの貿易独占は崩れ始めた。幕府は「布教を伴わない貿易」を約束したオランダとの取引を重用するようになる。そして1637年に勃発した島原の乱によってキリシタンの脅威が決定づけられると、幕府は1639(寛永16)年にポルトガル船の来航を全面的に禁止する法令(第5次鎖国令)を発布した。これにより、約1世紀にわたった日本とポルトガルとの直接的な交流は断絶し、幕府によるいわゆる「鎖国」体制が完成を見ることとなった。

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最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

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