貴族が束帯を着用する際、威儀を正すために右手に持った細長い板状の持ち物を何というか。
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【概説】
日本の朝廷において、公家が正装である束帯などを着用した際に右手に持った細長い薄板のこと。元々は儀式の進行次第や執務上の備忘メモを裏面に貼り付けておくための実用的な道具であったが、のちに儀礼的・象徴的な装飾品へと変化した。

中国からの伝来と日本における受容

笏の起源は古代中国にある。中国の王朝において、官人が皇帝に拝謁する際、君命を書き留めたり奏上する内容をメモしたりするために用いられた「笏(こつ)」が、飛鳥時代から奈良時代にかけて律令制度の導入とともに日本へ伝来した。日本においては「笏」の文字を「しゃく」と読むが、これは笏の長さが約1尺(約30センチメートル)であったことから、「尺」の読みが普及したためと考えられている。

大宝律令などの衣服令(えぶくりょう)において、官人が朝廷に出仕する際の正装(拝賀の際の「礼服」や通常勤務の「朝服」)に携帯すべきものとして正式に規定された。

備忘録から「威儀」を正す道具への変遷

平安時代中期に国風文化が発達すると、公家の衣服は和風化して「束帯(そくたい)」となり、これに伴い笏のあり方も変化した。本来は「笏紙(しゃくがみ)」と呼ばれるメモ用紙を笏の裏面に貼り、儀式の複雑な手順を確認するための備忘録として実用的に使われていたが、次第に公家としての品格や「威儀」を示すための象徴的な道具としての性格が強くなっていった。

また、身分制度の象徴でもあり、素材によって厳格な格差が設けられていた。五位以上の貴族(通貴・殿上人以上)は象牙で作られた牙笏(げしゃく)を、六位以下の官人はイチイやサクラなどの木で作られた木笏(もくしゃく)を使用することが定められていた。この伝統は現代の神社神道にも受け継がれており、神職が儀式において神前に臨む際に保持する笏にその名残をとどめている。

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最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

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