長門国 (ながとのくに)
【概説】
山陽道の西端に位置する、現在の山口県北西部にあたる令制国。奈良時代には東大寺大仏(盧舎那仏)の鋳造に必要な銅の主要な産地として、国家的な事業を支えた重要な地域。
古代国家を支えた長門国の鉱物資源
長門国は、現在の山口県北西部に設置された令制国である。本州の最西端に位置し、九州や朝鮮半島へとつながる交通・軍事の要衝として機能する一方、古代の日本において極めて重要な鉱物資源(銅)の供給源としての役割を担っていた。特に天平年間、聖武天皇によって進められた東大寺大仏(盧舎那仏)の造営事業においては、長門国で採掘された大量の銅が平城京へと運ばれ、大仏の体躯を鋳造するための主要な原料となった。
長門鋳銭司と律令国家の経済基盤
長門国の銅は、大仏鋳造だけでなく貨幣制度の確立にも深く関わっていた。国内屈指の銅山であった長登(ながのぼり)銅山(現在の山口県美祢市)の存在を背景に、長門国には皇朝十二銭の鋳造を担う長門鋳銭司(すぜんじ/ちゅうせんし)が置かれた。このように長門国は、奈良時代の律令国家における経済・通貨制度、そして仏教を通じた国家鎮護政策を物質面から支えた、極めて重要な資源供給地であったと言える。