問(問丸)

鎌倉時代に港や河川の要所などで発達した、荘園の年貢や商品の輸送・保管・委託販売を行った業者を何というか?
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重要度
★★★

問(問丸) (とい(といまる)

12世紀〜16世紀頃

【概説】
交通の要所や港に定住し、荘園の年貢や商品の保管、運送、委託販売などを請け負った中世の運送・倉庫業者。平安時代後期に誕生して鎌倉時代に大きく発展し、水上・陸上の交通網を掌握して流通経済の中核を担った。室町時代以降は卸売業としての性格を強め、近世の問屋(とんや)へと発展していった。

「問」の誕生と歴史的背景

問(とい)」は、平安時代後期から鎌倉時代にかけて、河川の船着き場や港湾などの交通の要衝において発生した運送・倉庫業者である。中世の荘園公領制のもとでは、地方の荘園で徴収された米や特産品などの現物年貢を、中央の荘園領主(貴族や寺社)のもとへ輸送する必要があった。この長距離輸送の過程で、中継地となる港などに荷物を一時保管し、次の輸送手段への積み替えを行う必要が生じたため、現地の有力な名主などがその業務を請け負うようになったのが問の始まりである。

特に、琵琶湖から淀川水系を経て京都に至るルート上の大津坂本や、瀬戸内海交通の拠点である兵庫(大輪田泊)などで早くから発達した。

鎌倉時代の流通経済と業務の拡大

鎌倉時代に入ると、農業生産力の発達や手工業の進展、さらに日宋貿易などを通じた宋銭(銅銭)の大量流入により、日本社会において貨幣経済と商品流通が急速に浸透した。これに伴い、問の業務も単なる荷物の保管や中継輸送にとどまらなくなった。

荘園領主の依頼を受けて年貢を市場で売却し、貨幣に換算して送金する「代銭納(だいせんのう)」の請負や、商人からの商品の委託販売など、商業的な性格を強めていった。この頃から彼らは「問丸(といまる)」とも呼ばれるようになり、港湾や宿駅の物流を独占的に支配して莫大な利益を上げるようになった。また、荷役や陸上輸送を担う馬借(ばしゃく)車借(しゃしゃく)、水上輸送を行う船頭たちを直接指揮・統括する立場にもなり、中世の交通ネットワークにおける中核的な存在となった。

室町時代の変容と「問屋」への発展

室町時代になると、全国的な流通網がさらに整備され、各地の特産品が大量に市場に出回るようになった。この時期の問丸は、同業者で座(ざ)を結成して幕府や寺社から特権的な営業の独占権(座特権)を公認される代わりに、座役と呼ばれる税を納めるようになった。

同時に、他人の商品の委託販売を請け負うだけでなく、自ら資金を出して商品を買い取り、市場で販売する「卸売業」としての性格を色濃く持つようになる。また、遠隔地取引の決済手段である為替(かわせ)の手形を扱う金融業務や、商人の宿泊施設を提供する客舎の機能まで兼ね備える有力な者も現れた。このように多角的な商業・金融活動を展開するようになった問は、やがて近世(江戸時代)における問屋(とんや)へと発展し、日本における商業資本の形成に極めて重要な役割を果たすこととなるのである。

日本中世の流通と商業

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中世社会と現代 (日本史リブレット 33)

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最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

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