古史通

新井白石が著した、日本書紀などの神話的な記述を合理的に解釈しようと試みた歴史的考証書は何か。
カテゴリ:
重要度
★★

【参考リンク】
古史通(Wikipedia)

古史通 (こしつう)

1716年

【概説】
江戸時代中期の儒学者・新井白石が著した先駆的な歴史研究書。日本書紀や古事記などの記紀神話を合理的に解釈し、神代の記述を人間の歴史として捉え直そうとした著作である。

「神代人間化説」による合理的解釈

『古史通』の最大の特徴は、記紀神話に登場する「神」を超自然的な存在としてそのまま信じるのではなく、古代の「人間」が神格化されたものとして解釈する「神代人間化説」(あるいは人道解釈)を提示した点にある。著者の新井白石は、神話の記述を一種の比喩や表現の誇張として捉え、合理的・客観的な視点から歴史的事実を抽出しようと試みた。

例えば、神々が住まう天上界とされる「高天原(たかまのはら)」について、白石は「天」とは特定の高地や東国地方などの実在した「地名」を指すものとし、神話の登場人物はそこに居住していた古代の有力者や指導者(人間)であったと比定した。この徹底した合理主義は、当時としては極めて画期的な歴史研究の手法であった。

白石の歴史観と近代歴史学への影響

朱子学者であった新井白石は、徳川家宣・家継の侍講として「正徳の治」と呼ばれる政治改革を主導したことで知られるが、優れた歴史家でもあった。武家政権の変遷を独自の時代区分で論じた『読史余論』と並び、この『古史通』は白石の論理的かつ実証主義的な歴史観を体現した代表作である。

古代の神話を怪力乱神の迷信として退けるのではなく、言語学的なアプローチなどを駆使して歴史資料として再評価しようとした姿勢は、のちの儒学や国学における文献学・考証学の発展に大きな影響を与えた。神話と歴史を峻別しようとする白石の合理的な試みは、明治以降の近代歴史学における記紀批判や、現代の考古学的アプローチの先駆をなすものとして高く評価されている。

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最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

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