インドネシア
【概説】
太平洋戦争期の日本軍占領を経て、戦後にオランダからの独立を達成した東南アジアの国家。日本の南進政策における最重要目標であり、その軍政は現地のナショナリズムを刺激し、アジアの脱植民地化を促す契機となった。
日本軍の蘭印占領と軍政の影響
太平洋戦争期、日本は資源確保(特に石油資源)を目的にオランダ領東インド(蘭印、現インドネシア)への南進を断行した。1942年の日本軍占領は、300年以上にわたるオランダの植民地支配を打破したため、当初は現地住民から「解放軍」として歓迎された。日本軍政は、日本語の普及や軍需資源の過酷な徴発(ロームシャと呼ばれる強制労働など)を行う一方で、現地住民の支持を得るために民族意識の高揚を利用した。日本側はスカルノやハッタらの民族運動指導者を釈放・登用して独立を約束し、さらに現地人による軍事組織である郷土防衛義勇軍(PETA)を組織して軍事訓練を施した。ここでの軍事経験が、のちの独立戦争における強力な軍事基盤となった。
独立宣言と残留日本兵の貢献
1945年8月15日の日本降伏直後の8月17日、スカルノらは即座にインドネシア独立宣言を発表した。これに対し、再び支配を企てて武力介入してきたオランダとの間で、4年間にわたる激しい独立戦争が勃発した。この際、連合国への武装解除を拒絶し、現地に踏みとどまった約1000〜2000人とされる残留日本兵がインドネシア側に参加した。彼らは日本軍から譲渡、あるいは奪取した武器を携え、現地兵に軍事訓練を施し、自らも戦闘に加わって独立闘争を支えた。1949年、オランダはついに主権を放棄し、インドネシアの独立が国際的に承認された。日本史の文脈において、インドネシアは日本の国策(南進)の結末と、アジアの非植民地化のダイナミズムを示す重要な地域である。