ウォール街 (うぉーるがい)
【概説】
アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタン南部に位置する、世界金融の中心地。1929年10月にこの地で発生した株価大暴落は世界恐慌を引き起こし、日本が昭和恐慌へと突入する契機となった。
世界恐慌の発信地としてのウォール街
第一次世界大戦後のアメリカ合衆国は、世界最大の債権国として未曾有の好景気(「狂騒の20年代」)を享受していた。その繁栄の中心が、ニューヨークの証券取引所を擁する金融街、ウォール街であった。しかし、実体経済の成長を越えた投機ブームの果てに、1929年10月24日(暗黒の木曜日)、ウォール街で突如として株価が大暴落した。この恐慌は、国際金融網を通じて瞬く間にヨーロッパをはじめとする全世界に波及し、資本主義史上最大規模の世界恐慌へと発展することとなった。
昭和恐慌の引き金と日本社会の変容
ウォール街に端を発した経済危機は、太平洋を渡って日本にも致命的な影響を及ぼした。当時、日本の浜口雄幸内閣(蔵相・井上準之助)は、緊縮財政と産業合理化を進め、経済の安定化を目指して金解禁(金本位制への復帰)を準備していた。しかし、運悪く世界恐慌の勃発直後である1930年1月に金解禁を断行したため、日本経済は直撃を受け、激しいデフレーションを伴う昭和恐慌に陥った。主要輸出製品であった生糸の対米輸出が激減し、農村では「農業恐慌」が発生して深刻な社会不安をもたらした。この経済的苦境が、後の協調外交の破綻や軍部の台頭、そして満州事変へとつながる大きな歴史的転換点となったのである。