鑑真和上東征絵伝

奈良時代の唐僧・鑑真が、日本へ渡るために度重なる遭難や失明の苦難を乗り越えた生涯を描き、唐招提寺に伝わる絵巻物は何か?
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【参考リンク】
大和絵(Wikipedia)

鑑真和上東征絵伝 (がんじんわじょうとうせいえでん)

1298年

【概説】
唐の僧・鑑真が幾多の苦難を乗り越えて日本に渡海し、戒律を伝えた生涯を描いた鎌倉時代の絵巻物。奈良・唐招提寺に伝わる国宝である。奈良時代の文学『唐大和上東征伝』を絵画化したもので、鎌倉期における戒律復興運動を背景に制作された。

鎌倉期の戒律復興と制作の背景

鎌倉時代中期から後期にかけて、形骸化していた仏教のルール(戒律)を立て直そうとする戒律復興運動が、西大寺の叡尊や極楽寺の忍性らによって盛んに展開された。この運動の中で、日本に正式な授戒制度をもたらした祖師である鑑真への崇拝が急速に高まることとなった。

本作は永仁6年(1298年)、唐招提寺の復興と中興が進むなか、鑑真の偉業を視覚的に広く宣伝し、信徒の結縁や勧進(寄付集め)を促す目的で制作された。絵巻の詞書(ことばがき)のテキストには、奈良時代に淡海三船が著した『唐大和上東征伝』が忠実に用いられており、当時の戒律復興論者がいかに正統性を重んじていたかが窺える。

劇的な渡海と美術史・史料的価値

全5巻からなる絵巻には、5回にわたる渡海失敗、激しい漂流、度重なる弟子の死、そして自らの失明といったドラマチックな苦難のプロセスが、臨場感豊かに描かれている。6回目にしてついに日本の土を踏み、東大寺での授戒や唐招提寺の建立に至るまでのクライマックスは、見る者に深い感動を与える構成となっている。

美術的には、鎌倉絵巻特有の写実的な描線と豊かな色彩が特徴であり、嵐に翻弄される船の様子や、当時の中国(唐)や南方の風物、異国の人々の姿が生き生きと描かれている。宗教的な偉人伝としての価値にとどまらず、中世日本における対外認識や、当時の風俗、船舶の構造などを知る上でも一級の歴史史料として評価されている。

鑑真: 海をこえてきた盲目の仏教僧 (よんでしらべて時代がわかるミネルヴァ日本歴史人物伝)

幾多の苦難を乗り越えて日本へ渡った盲目の僧の生涯を、歴史の背景とともに辿る伝記の決定版。

鑑真和上: 天平渡海物語り (歴史)

幾度もの遭難に屈せず理想を貫き通した、不屈の精神と崇高な信仰心を描き出す魂の叙事詩。

最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

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