神武景気

1955年頃から始まった、「日本の建国以来(初代天皇以来)の好景気」と称された戦後初の大型好景気を何というか?
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【参考リンク】
神武景気(Wikipedia)

神武景気

1955年〜1957年

【概説】
1955年(昭和30年)から1957年(昭和32年)にかけて日本経済を潤した、戦後初の本格的な大型好景気。民間企業の旺盛な設備投資と輸出増大を原動力として急速な経済拡大をもたらし、日本が戦後復興期を終えて高度経済成長期へと突入する決定的な転換点となった。

背景と要因――「投資が投資を呼ぶ」好循環

1950年に勃発した朝鮮戦争による特需(朝鮮特需)によって戦前の経済水準への復興の糸口を掴んだ日本経済であったが、特需の反動による不況を挟んだ後、1955年頃から再び飛躍的な拡大を見せ始めた。その直接の契機となったのは、アメリカを中心とした世界的な好景気(数量景気)を背景とする輸出の急激な増大であった。輸出の拡大は日本の国際収支を改善させ、企業に莫大な利益をもたらした。

潤沢な資金を得た民間企業は、さらなる増産と海外の最新技術の導入(イノベーション)を目指し、こぞって大規模な設備投資を行った。この時期の設備投資は、合成繊維、石油化学、電子工業といった新産業の勃興を促し、日本産業の主体を従来の軽工業中心から重化学工業中心へと転換させる原動力となった。ある産業の設備投資が、機械や鉄鋼などの関連産業に新たな需要を生み出し、さらに別の投資を誘発していく。この爆発的な経済の波及効果は、1956年(昭和31年)度の『経済白書』において「投資が投資を呼ぶ」と見事に表現された。

「もはや戦後ではない」――大衆消費社会の幕開け

神武景気の到来は、企業業績の向上のみならず、国民の雇用状況や所得水準を劇的に改善させた。同1956年度の『経済白書』は、国民1人あたりの実質国民所得が戦前(1934〜36年平均)の最高水準を上回ったことを指摘し、その結語で「もはや戦後ではない」と宣言した。この言葉は流行語となり、敗戦の焦土からの復興の完了と、未知の経済成長のステージへと踏み出す日本社会の空気を象徴するものとなった。

国民の所得増大は生活様式の近代化を促し、「消費革命」と呼ばれる現象を引き起こした。特に電気洗濯機、電気冷蔵庫、白黒テレビの家電製品は「三種の神器」ともてはやされ、都市部を中心に爆発的に普及し始めた。農村から都市部へと若年労働力が移動し、分厚い中間層が形成されたことで、日本は本格的な大衆消費社会へと移行していったのである。

好景気の終焉と「なべ底不況」

初代天皇である神武天皇が即位して以来の未曾有の好景気という意味を込めて「神武景気」と名付けられたこの経済拡大は、急激すぎるがゆえに経済の過熱を招いた。生産設備の拡充を急ぐあまり、機械や鉄鋼などの原材料の輸入が急増した結果、日本の国際収支は悪化し、外貨準備高が危機的状況まで激減してしまったのである(国際収支の天井)。

これに対処するため、1957年(昭和32年)春、政府と日本銀行は公定歩合の引き上げをはじめとする強力な金融引き締め政策を実施した。資金調達が難しくなった企業は投資を控えざるを得なくなり、神武景気は終息を迎えた。その後、日本経済は約1年間にわたり「なべ底不況(なべ底デフレ)」と呼ばれる一時的な停滞期に突入することとなる。

歴史的意義――高度経済成長体制の確立

神武景気はわずか2年半ほどの期間であったが、その後の日本経済のあり方を決定づける極めて重要な意義を持っていた。この時期に強烈な設備投資主導の経済拡大を経験したことで、後の岩戸景気(1958〜61年)やオリンピック景気(1962〜64年)、いざなぎ景気(1965〜70年)へと連なる高度経済成長のメカニズムと基本的な成長パターンが確立されたのである。

また、「神武景気」という名称自体が、その後の大型好景気に対して「岩戸(天岩戸)」や「いざなぎ(伊弉諾尊)」といった日本神話に由来するスケールの大きな名称を付与する先例となった。神武景気は、日本が敗戦国から世界有数の経済大国へと駆け上がる、その輝かしい軌跡のまさに「第一歩」であったと評価できる。

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最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

日本史一問一答(ランダム)

Q. 1918年の原敬内閣のもとで制定され、全国に官立・公立・私立の高等学校を大幅に増設することを定めた法令は何か?
Q. 9世紀以降に設定された、天皇(皇室)の私的な財源とするための田地を何というか?
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