日米物品役務相互提供協定(ACSA) (にちべいぶっぴんえきむそうごていきょうきょうてい)
1996年
【概説】
自衛隊とアメリカ軍の間で、共同訓練や災害派遣、有事などの際に、燃料や弾薬、輸送・医療などの物資やサービスを相互に融通し合うための協定。冷戦後の日米安全保障体制の「再定義」にともない締結され、その後の安全保障関連法の改正にあわせて適用範囲が段階的に拡大された。
冷戦後の日米安保再定義とACSAの締結
1989年の冷戦終結後、日米同盟は東アジアの安定化を大義名分として、新たな存在意義を模索することとなった。1996年、橋本龍太郎首相とクリントン米大統領によって日米安保共同宣言が発表され、アジア太平洋地域における日米同盟の役割が「再定義」された。この流れの中で、自衛隊と米軍の円滑な共同行動を制度的に保障するために締結されたのが日米物品役務相互提供協定(ACSA)である。当初の協定は平時の共同訓練や国連平和維持活動(PKO)、人道的国際救援活動などに限定されており、提供される物品から「武器・弾薬」は厳格に除外されていた。
防衛政策の転換にともなう改定と軍事一体化の進展
しかし、その後の緊迫化する東アジア情勢や日本の防衛政策の転換により、ACSAは度重なる改定を経てその性格を大きく変貌させていく。1999年の周辺事態法制定にともなう最初の改定により、日本の平和と安全に重要な影響を与える「周辺事態」への対処において、米軍への後方支援(物品・役務の提供)が可能となった。さらに、2015年の平和安全法制(安保法制)の成立を受け、2016年に新ACSAが署名された。これにより、日本が直接攻撃されていない状態であっても、集団的自衛権の行使に関わる「重要影響事態」や「存立危機事態」において、自衛隊による米軍への弾薬の提供や戦闘作戦準備中の航空機への給油などが解禁され、日米両軍の兵站(ロジスティクス)面における一体化が極めて高いレベルで実現することとなった。