室町時代

足利尊氏が京都に幕府を開いてから、15代将軍義昭が織田信長に追放されるまでの時代区分は何か?
カテゴリ:
重要度
★★★★

室町時代

1336年 – 1573年

【概説】
足利尊氏が京都に幕府を開いてから、第15代将軍足利義昭が織田信長によって追放されるまでの約240年間の時代。前期は南北朝の動乱、中期は幕府権力の確立と守護大名体制の展開、後期は応仁の乱を契機とする戦国時代へと変遷した。政治的な混乱の一方で、産業経済が著しく発達し、現代に連なる日本文化の源流が形成された転換期である。

幕府の成立と南北朝の動乱

鎌倉幕府滅亡後、後醍醐天皇による建武の新政が行われたが、武士層の不満が高まり政権は短命に終わった。離反した足利尊氏は、1336年に建武式目を制定して新たな武家政権の理念を示し、光明天皇(北朝)を擁立した。一方、吉野に逃れた後醍醐天皇は南朝を樹立し、ここに二つの朝廷が並立する南北朝時代が幕を開けた。

1338年、尊氏が北朝から征夷大将軍に任命され、正式に室町幕府が成立した。初期の幕府は、将軍の尊氏と、政務を統括する弟の足利直義との二頭政治体制をとっていたが、やがて両派の対立から観応の擾乱と呼ばれる内部抗争が勃発した。この争いに南朝の動向も絡み合い、全国の武士を巻き込んだ動乱が約60年にわたって続くこととなった。

義満による全盛期と守護領国制の確立

第3代将軍足利義満の時代に、室町幕府は全盛期を迎えた。義満は花の御所(室町殿)を造営して幕府の拠点を定着させ、1392年には南朝の明徳をついに降伏させて南北朝の合一を達成した。さらに、山名氏や大内氏といった有力な守護大名を次々と挑発・討伐し、将軍の専制権力を確立した。

室町幕府の支配体制は、将軍と地方の守護大名による連合政権的な性格を色濃く持っていた。幕府の要職である三管領(細川・斯波・畠山)や四職(赤松・一色・山名・京極)は有力守護が独占し、彼らは領国内の地頭や国人を家臣化して、土地と人民を一元的に支配する守護領国制を形成していった。幕府の安定は、これら守護大名の権力バランスの上に成り立っていたのである。

東アジア世界との交流と日明貿易

外交面において、義満は1401年に明へ使節を派遣し、明の皇帝から「日本国王」に冊封される形で国交を開いた。これにより、海賊である倭寇と正式な貿易船を区別するための勘合を用いた勘合貿易(日明貿易)が開始された。幕府や大名、寺社は、銅銭や生糸、陶磁器などを輸入し、莫大な経済的利益を得て財政基盤を強化した。

同時に、朝鮮半島に成立した李氏朝鮮や、琉球王国(中山王)とも盛んに交易が行われ、室町時代の日本は東アジアの広大な交易ネットワークに深く組み込まれていた。貿易の実務は博多や堺などの豪商が担い、彼らの経済力は後の時代に大きな影響力を持つこととなる。

応仁の乱と下剋上の社会

第8代将軍足利義政の時代に入ると、将軍の継承問題や、管領家(畠山氏・斯波氏)の家督争い、さらに実力者である細川勝元と山名持豊(宗全)の権力闘争が複雑に絡み合い、1467年に応仁の乱が勃発した。11年に及ぶ未曾有の大乱により、京都は焦土と化し、幕府の権威は完全に失墜した。

これを機に、身分が低くとも実力のある者が上位の者を打ち倒す下剋上の風潮が全国に蔓延した。守護大名に代わって、国人領主や守護代が出身地を実力で制圧し、独自の分国法を定めて領国を支配する戦国大名へと成長していく戦国時代へと突入したのである。幕府は存続したものの、その影響力は京都周辺の山城国などに限定される一介の地方政権へと転落した。

産業の発達と室町文化の開花

政治的には動乱の続いた室町時代であったが、社会経済や文化の面では目覚ましい発展を遂げた。農業では二毛作が普及し、畿内を中心に商品作物の栽培が盛んになった。また、手工業者や商人はと呼ばれる同業者組合を結成して特権を得て、馬借・車借などの運送業者や、土倉・酒屋などの高利貸しが活躍する貨幣経済が浸透した。農村部では、農民たちが惣村という自治組織を形成し、時には団結して土一揆を起こし、権力者に対して徳政令を要求するまでに成長した。

文化面では、伝統的な公家文化と躍動的な武家文化、そして禅宗の精神が融合し、独自の発展を遂げた。義満の時代の北山文化(金閣などに代表される華やかな文化)や、義政の時代の東山文化(銀閣に代表されるわび・さびを基調とした文化)が花開いた。書院造の建築様式、枯山水の庭園、茶の湯、華道、そして観阿弥・世阿弥による能楽の大成など、今日の日本文化の骨格となる芸術や生活様式の多くが、この室町時代に形作られたのである。

室町幕府論 (講談社学術文庫 2767)

将軍権力の変遷と組織構造を徹底的に解明し、室町幕府というシステムの本質を鮮やかに浮き彫りにする精緻な論考。

応仁の乱 – 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

足利義政の政治的迷走から幕府の権威が崩壊し、混沌の戦国時代へと突入する過程を読み解く歴史ノンフィクションの傑作。

最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

日本史一問一答(ランダム)

Q. 綱吉の治世前半に大老として「天和の治」を推進したが、江戸城内で暗殺された人物は誰か。
Q. 幕府が定めた禅宗寺院の寺格において、五山に次ぐ格式とされた寺院群を何というか?
Q. 清和天皇の命を受け、貞観格式の編纂事業の中心となって活躍した人物は誰か?