間氷期 (かんぴょうき)
更新世:約258万年前〜約1万1700年前
【概説】
氷河時代において、寒冷な氷期と氷期の間に挟まれた、比較的温暖な気候の時期。地球規模での海面上昇(海進)を伴い、日本列島の形成や動植物の生態系、そして人類の活動に多大な影響を与えた。
気候変動のサイクルと日本列島の環境変化
地球の歴史において、第四紀の更新世(旧石器時代にほぼ該当)には、寒冷な「氷期」と温暖な「間氷期」が約10万年周期で交互に繰り返された。この気候変動は、日本列島の地理的形状を大きく変貌させる要因となった。
寒冷な氷期には、地球上の水分が氷河として陸上に固定されるため、海水面が現在よりも100メートル以上低下する「海退」が起こり、日本列島はアジア大陸と陸続きになった。一方、温暖な間氷期に入ると、氷河が融解して海水面が上昇する「海進」が起こり、陸橋が水没して日本列島は一時的に大陸から孤立した。この周期的な陸続きと孤立の繰り返しが、日本列島独自の豊かな生態系を育む土台となったのである。
生態系の変遷と旧石器人の適応
間氷期の温暖な気候は、日本列島の植物相や動物相に劇的な変化をもたらした。氷期には針葉樹林やステップ(草原)が広がっていた日本列島も、間氷期には落葉広葉樹林や常緑広葉樹林(照葉樹林)が拡大した。
これに伴い、動物たちの生息環境も変化した。氷期に大陸から陸橋を渡って南下してきたナウマンゾウやオオツノジカなどの大型哺乳類は、間氷期の森林化やその後の気候変動、さらには人間による狩猟の影響などを受けて徐々に減少・絶滅へと向かったとされる。旧石器時代の人類は、こうした氷期から間氷期への環境変化、あるいは間氷期から次の氷期への移行に伴う動植物相の変化に柔軟に対応するため、石器の技術を改良し、遊動生活の範囲や狩猟対象を変化させていった。地質学的な環境移行期への適応こそが、日本列島における人類の歩みの原点であった。