刑法(改正)

日本国憲法の主権在民や男女平等の精神に基づき、大逆罪や不敬罪などが削除された法律の改正は何か?
カテゴリ:
重要度
★★

刑法(改正) (けいほうかいせい)

1947年

【概説】
日本国憲法の制定・施行に伴い、その基本理念に適合させるために実施された刑法の抜本的な改正。国家や皇室の尊厳、家父長制秩序の維持を重視した大日本帝国憲法下の旧刑法から、個人の尊厳や両性の平等を重んじる民主的な刑事法体系へと脱皮を図る契機となった法律改正である。

憲法改正とGHQの意向による「民主化」

1945年(昭和20年)の敗戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指導のもとで進められた日本の民主化において、司法制度の改革は極めて重要な課題であった。1947年(昭和22年)5月3日の日本国憲法施行に先立ち、新憲法の精神である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を具現化するため、従来の法体系の全面的な見直しが必要となった。特に、国家や家族秩序の維持を最優先としていた明治以来の刑法(1907年制定)は、新憲法が掲げる個人の尊重や法の下の平等と激しく矛盾していた。これにより、1947年10月に刑法の大規模な一部改正が行われた。

皇室不敬罪・大逆罪の廃止と主権の在り方の転換

改正の最も核心的な部分は、皇室に対する罪(大逆罪・不敬罪など)の全面的な廃止である。大日本帝国憲法下では、天皇や皇族に対する危害(大逆罪)は死刑のみが規定されており、不敬な言動(不敬罪)も厳しく処罰された。しかし、新憲法によって天皇が「統治権の総攬者」から「象徴」へと位置づけが変わり、主権が国民に移行したため、皇室を特別に保護するこれらの規定は国民主権および表現の自由に反するものとみなされた。GHQの強い要請もあり、これらの規定は廃止され、皇族に対する犯罪は一般の国民と同様の保護に一元化された。これにより、国家権力が皇室への忠誠を強制する法的根拠は消滅した。

両性の平等と「姦通罪」の撤廃

新憲法第24条が定めた「両性の本質的平等」に即して、従来の家族制度に基づく犯罪規定も大きく改められた。その代表例が姦通罪の廃止である。旧刑法では、妻が夫以外の男性と肉体関係を持った場合(およびその相手の男性)のみが処罰対象とされており、夫の婚外性交渉は処罰されないという、著しい男女不平等が存在していた。家父長制的な家制の維持を目的としたこの規定は、法の下の平等に反するため完全に削除された。一方で、目上の家族を殺害した者を加重処罰する尊属殺重罰規定については、この段階では「親孝行の美風」を残すべきとする保守派の意見が強く、改正が見送られた。これが違憲判決(尊属殺重罰規定違憲判決)を経て正式に削除されるのは、1995年(平成7年)の現代語化を伴う刑法全面改正を待つこととなる。

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最終更新:2026年6月17日 @ 23:49

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